西表島・祖納「節祭」(2013年)

エピローグ ~ 祖納「節祭」のミリク神

これまでいくつかの神行事を拝見させていただいたなかでも、取り分け鮮烈な印象を受けた祖納の「節祭」。
強烈な感動に包まれたまま「節祭」が幕を下ろしたのは、無論、祖納島人たちのたゆまぬ努力の賜物であることには違いありませんが、節祭を終えた数十日の間、“なぜミリク面を取った瞬間、周囲も私もあれほど感動したのだろう”とずうっと考えていました。

「まったく喉は乾かなかった。トイレに行きたいとも思わなかった」
「景色はいつも以上に美しく、ひとの顔はふだん以上によく見えた」
「神になった人にしかわからない」
ミリク神を務めた島人は誰もが同じことを口にする。

ミリク面をつけた瞬間から、人から神へと変わる。
完全に神の依り代となった後、面を外した瞬間、神から人へともどる。

人と神が入れ替わる、その瞬間に立ち会えるからこそ、人と神の違いを見出し、白い微笑面の黄衣姿に、真のミリク神をみるのだ。
ユークイの長い時をともに過ごすがゆえ、ミリク神と人と集落は強く、強くつながる。
そして神を送り出し、集落の代表として集落と神と人をつないだ仲間が、神から人へ無事にかえってきた瞬間は、この上もない喜び。
それがきっと、感動の源かもしれない。

一日神となって島人と集落を結びつける強力なチカラは、数百年前から変わらない。
そして、これから先もずうっと、ずうっと変わることはない。

西表島の祖納「節祭」。
ぜひまた来たいと思う、ふたつとない素晴らしい神行事でした。

  ダイグクヌ ミリク バガシマニ イモリ

取材協力

取材協力 (2013年9月)

那根操さん、古見代志人さん、星公望さん、石垣金星さん、前泊明治さん、大立ツヤコさん、前泊キチ子さん、西表全剛さん、上亀直之さん、上亀智恵さん、砂川素子さん、平良八重子さん、那良伊瑞代さん、大浜美咲ちゃん、石垣博公さん、那良伊孫一さん、前大用安さん、宮良用信さん、宮良用範さん、野底広光さん、那根淳さん、東浜宗裕さん、星陽子さん、久貝克彦さん、久貝智美さん、曽根田真さん、根間翔次郎さん、那根幸子さん、荒木和友さん、荒木みささん、荒木悠太朗くん、荒木壮介くん、黒島みほさん、黒島学さん、祖納公民館、郷友会のみなさま、西表アイランドホテルさん(順不同)

西表島でお会いしたみなさま、まことにありがとうございました。
いっぺーにふぇーでーびたん。

2013年9月 取材・撮影・執筆:安積美加

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