西表島・祖納「節祭」(2013年)

トゥズミ

集落の清めを済ませると一行はスリズに戻り、再度「船元の御座」で奉納したすべての奉納芸を行います。
ウブシクミと同様、島人が見守るなか、修学旅行生の団体が見学されていました。どうやら大阪の高校生らしく、「ゆっくりしてるなー。大阪とは違うなー」、「入場してくるときもゆっくりのんびりしてるなー」と生徒さんたちが口々に驚きの言葉を発しています。そら大阪は動いてナンボの世界やから、大阪の子らにはかなりのカルチャーショックかもしれんなぁ、とちょっと笑ってしまう。

昨日のユークイとは違い、音響は一切ありません。
先ほどまで“清め”でお酒を飲み、たいそう賑やかであったのに、雑談する方も少なく、お酒を口にする方もなく、驚くほど厳粛なものになっていました。
素の声、素の唄が、祖納の緑の山々に染みこんでいく。
その唄声は私の胸にも染みこんでいく。
こんなにも素朴なのに、荘厳に感じるのはなぜだろう。
独りそんなことを想いながら少し離れて眺めていると、トゥズミの最後になったよう。
ふたたび全員が「サァサァサァサァ」と声を上げ手を上げて舞い踊り、胴上げし、夕暮れの空に紅型衣装の男性の身体が舞っています。
節祭を通してひとつとなった島人の想いもいっしょに、祖納の空高く喜びに舞っているのでした。

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