君南風は久米島の守護神
17時40分頃、トートー石での儀式を終え、お付きの女性たちが片付けに入りました。
島人たちは先に下りて、駐車場で君南風ご一行を待っていました。
しばらくすると、一歩一歩ゆったりとした足取りで君南風が階段を下りられて来ました。
今日一日のなかで私にとっては、君南風がもっとも近く眼の前を通られます。少しドキドキ。
かつては久米島の10人の神女たちもご一緒であったウマチー。今回、神衣装に身を包んでいるのは君南風おひとりだけでした。ご高齢にも関わらず、暑熱のなか一日がかりの祭祀を斎行された君南風。
畏れ多い気持ちと敬意を込めて、君南風に「ありがとうございました」と頭を垂れました。
隣にいらした島の女性も「ありがとうございました」と感謝のことばを口に、深々と頭を下げられています。
ー 君南風は久米島の守護神なんです ー
なんだか胸がいっぱいになりました。
具志川城跡の駐車場から君南風を乗せたワゴン車が出発される様子を皆が見届けました。
仲地女性会・山里女性会、関係者の方々はまだ駐車場に残っていらっしゃいますが、飛行機の時間もあったので私たちは一足先においとま。
クルマの車窓から「ありがとうございましたー!」と手を振ると、駐車場にいる女性たちも笑顔で手を振り返してくれました。見送ってくださる姿に、久米島の島人のぬくもりを感じながら具志川城跡をあとにしました。
久米島ブルーに見送られて
帰りは久米島空港19時10分発の最終便。那覇の日没は19時23分。
日没前とは思えないほど、久米島上空は思った以上に明るい空です。
飛行機が飛び立つと久米島と橋で繋がる奥武島(おうじま)が見えてきました。
両手で数えきれないくらい久米島を訪れていますが、これほど美しく、眼下に奥武島やハテの浜が広がる風景は初めてでした。

グシクヌブイの開始時間がゆっくりになり思いがけず余裕ができたので奥武島へ連れて行っていただけて良かったな。
「君南風のミチャブイには奥武島のノシランが用いられています。奥武島はとても神聖な島なので、むかしはお墓を作らなかったんですよ」と話されていたな。
1泊2日の濃密な時間を機内で振り返ります。

長らく気に留めていた祭祀に相まみえた数時間後に、久米島ブルーに見送られるなんて幸先良いな。
伝統を守り続ける島人の皆さんに深い敬意と感謝を抱きつつ、この幸運をひとり静かに噛みしめるのでした。