久米島の君南風『六月ウマチー』【後編】

冷たいお茶とウサンデーでほっと安らぐ

君南風が3ヶ所の拝みを終えてしばらくすると、ウサンデーのお菓子「かるかん」を乗せたお盆を手にした女性が廻ってきました。ウチナーグチの「ウサンデー」はお下がり、神仏へのお供え物をいただくことです。

玉那覇蔵下と同じく、冷たいお茶も振る舞われました。
冷たいお茶が本当に美味しいことこの上ありません。
このときばかりは「ビールより嬉しい!」と思ったほどです。

後でゆっくりいただこうと思ってウサンデーのかるかんをカバンに入れたのですが、
「かるかんは今ここでいただいてくださいねー」
という大きな声が聞こえてきたので、急いでかるかんの包みを開けました。

無事に祭祀を終え、皆さんと甘いかるかんを頬張っていると、朝からの緊張が一気に解けました。
思わず、「みんなでいただく絶景のウサンデーは本当に美味しいですね」と発すると、笑い声とともに「ほんとうに」「そうですね」と同意の声がいくつか聞こえてきました。

朝からずっとご一緒の顔ぶれに親近感を覚え、私も君南風を見守る方々の一員に入れていただいているように感じました。

すっかり和んで大団円です。

「無事に終えられて良かったですね」と安堵を口にすると、「まだありますよー」「次で最後ですよー」との声が聞こえてきました。

六月ウマチーにはまだ続きがあったのです。
“あえて知識を持たず、先が読めないことも面白いさぁ”
とひとりごちてしまいました。

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