祭祀と君南風を支え見守る島人たち
君南風殿内からはじまり、仲地蔵下、玉那覇蔵下と廻った午前の神事「朝神」は1時間足らずで終えられました。
ふと見ると、小学生くらいの男の子がお盆を手にまわっています。
私たちのところにも廻ってきてくれ、よく冷えたお茶をいただきました。
暑熱のなか、冷たいお茶の“うとぅいむち”(おもてなし)はなんともありがたい限りです。

冷茶をありがたくいただきながら、改善センター前で地元の方々と少しユンタク(お話し)させていただきました。
「ここはタンナハグワッチャ。漢字で書くと玉那覇蔵下です。蔵下と書いてグワッチャです」
「ウマチーは五月と六月とありますが、ツマ(五月ウマチー)は部落でやっています。
玉那覇には六月だけ君南風がいらっしゃいますよ」

「屋根の葉っぱですか?
あれはマーニだそうです。マーニはえーっと、日本語でいうとクロツグヤシです」
「男性たちがマーニを採ってきて屋根を作ってくれています」
「そこは実は神道(かみみち)なんですよ。むかしは神道を気にしてましたよ」
ひさびさに耳にする“神道”。名前の通り、神様の通り道です。

「私が子どもの頃は、神女たちは馬に乗っていたんですよ。
当時はお菓子なんてなかったから、お供えのお下がりのお菓子が欲しくて、グシクへ向かう馬のあとを追いかけましたよ」
「それは何年くらい前ですか?」
「70年くらい前」
「えっ?! ということは、いまおいくつですか?」
「75です」
「信じられない! すごくお若くみえます!!」
笑顔で明るく受け答えしてくださった若々しい女性は60歳前後かなと思っていたので、75歳と伺ってびっくりの私たち。

君南風のミチャブイは、かつては久米島の祝女たちが集まって作っていたようです。
近年では、仲地女性会・山里女性会がミチャブイを作られているそう。
昨年(令和6年)も女性会でミチャブイを作られたそうですが、今年は博物館がご準備されたそうです。
さまざまな島人に支えられて、祭祀は繋がれているのでした。
【後編】へ続きます。
※Special Thanks、参考文献は【後編】の末尾にまとめて記載いたします。
<しーぶん> 見学の際の注意点
一般人として見学しておりました私が現地で受けた注意事項になります。(今回の取材は行き当たりばったり『鶴瓶の家族に乾杯』ふーじーです)
久米島の君南風主宰の「六月ウマチー」をこれから見学されるご予定の方のご参考となりましたら幸いです。
1.君南風殿内の社殿内に入れるのは久米島の方だけです
2.撮影につきましては事前にご確認いただけるとベターです
六月ウマチーの朝、君南風殿内の鳥居の前で撮影に関するご注意をいただきました。
「神女に話しかけないでください。神女にポーズを取らせないでください。神女の行く先を遮るような行為はしないでください。神女の前に出て正面から撮影しないでください」とのことでした。
また、令和7年は撮影に関する申請の必要があったそうです。
今回は久米島の方にアテンドをお願いしておりましたので先様で手続きを行ってくださっていたようです。
詳しくは久米島博物館(TEL:098-896-7181)にご確認いただけますと幸いです。