久米島の君南風『六月ウマチー』【前編】

仲地蔵下

君南風殿内での祭祀を終えると、君南風と女性数名が君南風殿内の社殿を下り、鳥居を出て右に歩みを進められました。

君南風ご一行から少し離れ、後ろをついて歩きます。
バス停「仲地」を過ぎると、右手にこんもりとした緑が見えてきました。
次なる祭地は、君南風殿内から約100メートル、歩いて3分足らずのバス通り県道242号線に面したところでした。

こちらの祭地は仲地地区の「仲地蔵下」。
「蔵下」と書いて「グワッチャ」と読みます。
グワッチャは、各地域の収穫物などを一時保管した倉庫のことだそうです。

君南風は奥に座しておられます。

香炉石でしょうか。道路に近い地中に埋まっている自然石に、ヒラウコー、米、酒をウサギる(供える)のは私服の女性たちです。

君南風と地域の人々とのあいだで盃の儀が進められました。

誰も言葉を発することなく、盃に口をつけることもありません。

蝉の鳴き声がこだまするなか、島人たちは静かに祭祀を見守っていました。

祭祀を終えて君南風が立ち去った後、見守っていた数名の女性が静かに手を合わせている姿が見られました。

玉那覇蔵下

先に発たれた君南風ご一行と離れてしまい、一行がどのような手段で向かわれたのかはわかりかねますが、私たちは次の祭地にも歩いて向かいました。
島人・いすずさんのエスコートで来た道を戻り、君南風殿内を通り過ぎ、君南風殿内から約400m歩いて5分ほどで山里の「玉那覇蔵下」に着きました。

こちらでも私服姿の女性たちが自然石にヒラウコーなどをウサギて、君南風は奥に座していました。

私服の女性たちが自然石にヒラウコー、米、酒をウサギて、君南風と島人が盃の儀を行う。
神事の流れは仲地蔵下と同じようです。

玉那覇蔵下は、山里地区構造改善センターのタンカー(向かい)の一角です。

バス通りから一本入った集落内は、ほんの少し、時間の流れがゆったりしているように感じられました。

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