久米島の君南風『六月ウマチー』【前編】

六月ウマチー 朝神[午前の殿廻り]

君南風殿内(町指定史跡)

指定名称:君南風殿内(ちんべーどぅんち)
所在地:沖縄県久米島町字仲地1-1
指定年月日: 昭和49年4月26日(旧具志川村指定)
所有者:久米島町
【出典】久米島町役場資料(PDF)「君南風殿内」

令和7年7月19日(土)晴れ。午前8時45分頃、仲地の君南風殿内に到着。
鳥居前で撮影の注意事項の説明を受けました。

君南風は「五月ウマチー」では真っ白な神衣装を纏い、「六月ウマチー」では華やかな黄色の神衣装を纏うそう。
六月ウマチーの鮮やかな黄色の神衣装は、実り豊かな稲穂を連想させます。

祭壇に向かって右の香炉は首里弁ヶ岳への遥拝だそうです。
気になっていた青々としたワシャワシャの植物で覆われたハブイが用事されています。
君南風が冠するこちらのハブイは「ミチャブイ」と呼ばれていました。

君南風が囁くように祈りを捧げます。
数名の女性が君南風のお手伝いをしつつ、祭祀は粛々と進められました。

君南風が身につける勾玉は、1500年の八重山征伐で君南風が王府軍を勝利に導いた褒美だそう。
82個の水晶と1つの勾玉からなっており、総長は85.8cm。
500年以上の歴史を有する勾玉は、後ろ姿からも重厚感があり、歴史の重みが伝わります。

祭祀の間、社殿へ入ることができるのは久米島の島人だけです。
他島から伺った私は社殿の外から祭祀の成り行きを拝見していました。

祭壇には金色に輝く大きな御幣(ごへい)、香炉にはヒラウコー。
沖縄君南風殿内の祭壇は、神道と沖縄の祈りが混在しています。

ミチャブイを被ることで、君南風は神様と交信できるようになるそう。

社殿のなかの島人ひとりずつにヒラウコー(平御香)が配られました。
静謐の中で、島の老若男女が静かにヒラウコーに祈りを込めていました。

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