第28回「くいぬぱな節」新城島(パナリ)

定期船の通わぬ美しき有人島 ~ パナリ・上地島

竹富町に属するパナリは、黒島と西表島の間に位置し、北に上地島、南に下地島が並びます。
石垣港から船で約35分、西表島・大浜港から約15分で上地島の上地港へ渡ることができます。
下地島は周囲4.8km、面積1.56k㎡、現在牧場となっており管理者2名の方が暮らしているそう。

今回訪れる上地島は周囲6.2km、面積1.76k㎡、集落には32軒ほどの家屋敷がありますが、郵便局や病院、警察、お店の類等はありません。ほとんどの島人は石垣島で暮らし、週末や祭事の際に帰省され、島にはふだん数名の島人が静かに暮らしています。
近年、パナリには日帰りで来島する方々が増え、その多くはパナリの美しい海でのシュノーケリングがお目当てだとか。

今回の島唄取材で、離島ターミナルからご一緒にパナリへ渡ってくださるのは、新城島民俗芸能保存会会長・大浜修さん。パナリ、西表島、石垣島にそれぞれ居を構え、島々を縦横無尽に往来し多方面でご活躍されています。

現在、パナリへの定期船はなく、島の方の要請を受けた際に安栄観光の西表島行きの定期船などがパナリの上地港に特別に寄港してくれる、というのが実情です。
つまり、島外の方がパナリへ渡るには、パナリ出身者の方とご一緒するか、観光ツアーを利用するかのいずれかとなります。

「野球の試合はどうだった?」
「これからどこへ行くの?」
八重山の島々へ渡る定期船の起点となる石垣島石垣港離島ターミナル。
石垣島に着いたばかりのユニフォーム姿の少年野球団、これから西表島へ渡るという女性、老若男女問わず、修さんはひっきりなしに挨拶を交わされていました。

これまで幾度か、石垣島を“八重山諸島の玄関口”と表現して参りましたが、離島ターミナルで絶えることなく次から次へと友人知人と笑顔で話す修さんの姿は、“八重山で暮らす方にとって本当に玄関口なんだなぁ”と実感させられました。

修さんの要請を受け、今回は西表島・大原港行きの安栄観光の定期船がパナリに寄港してくれました。
35分ほどの短い船旅から降り立った上地港は、集落へ続くコンクリート製の長い桟橋があるだけ。かえってそれが人の手があまり入っていないパナリらしさを感じさせ、海と空の広さと碧さを引き出しているようでもあります。

桟橋から集落に向かって右手に見える小高い石積みが「くいぬぱな節」ゆかりの地「クイヌパナ」です。

さぞかし静寂に包まれた島なんだろう、との予想はハズレ、取材に訪れた日は週末土曜日とあってか、ツアーで上陸されている観光の方も多く、少々賑やか。パナリの人気振りをうかがわせています。

島にはクルマやバイクは数えるほどしかなく、のんびりと歩いて廻るのが基本。
眺めのよい「クイヌパナ」、国指定文化財史跡の火番盛である「タカニク」などが歩いて回れます。
火番盛とは、琉球王府によって設置された海上の監視・通報(烽火)を担った遠見番所のことで、先島諸島に残っている18ヶ所の火番盛が2007年に国の史跡名勝天然記念物に指定されました。

集落は白い砂の小路、サンゴの石垣、平屋建てのおうちがきちんと並び、青々とした緑に包まれていて、どこかほっとなごみます。
週末とあって、石垣島から帰島されている方々は、さっそく捕まえてきた小魚を素揚げに、
ビールとともに木陰でユンタク(おしゃべり)。八重山の中心島からさらにスローテンポな島時間を楽しまれています。

パナリには「立入禁止」、「撮影禁止」の島人がとても大切にしている神聖な御嶽もいくつかあります。
「東の方は水深500~1,000mあり、むかしはジュゴンが捕れたので、ジュゴンの肉を首里に納めていました。そのジュゴンのお骨を祀っているのがアールウガンです」。
ガイドブック等にも記されていることですが、島人の修さんの解説から、“本当にそうだったんだ…”と束の間、少しドキドキしつつ、遥か悠久の歴史に思いを馳せました。

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