広く愛される「安里屋ユンタ」
竹富島で生まれた労働歌「安里屋ユンタ」は、役人の手によって節歌として「安里屋節」、ヤマトゥグチの作詩と編曲で生まれ変わった「新安里屋ユンタ」と形を変えつつも広く歌われています。
不思議なことにすぐお隣りの石垣島では元歌「安里屋ユンタ」の歌詞が竹富島とは若干違います。
実は、同じ竹富島のなかでも、東では「チンダラ チンダラヨー」と入る囃子が、西、仲筋では「チンダラカヌシャマヨー」となっているというのですから驚きです。
「安里屋ユンタ」の発祥は西でありますが相談し合った結果、種子取祭の踊りは東が担当することとなったので、いまでは東の囃子に揃えているようです。

歌詞や歌い方が違えども、「安里屋ユンタ」が広く愛され歌われいることには違いありません。
「読み書きができなかったむかしは、口承により歌が伝えられていたので、ひとや場所によって歌い方が違っていても、どれも間違いとは言い切れないと思います」
と島のおばぁ。
本当にその通りだと思います。
しまうたはみんなのもので、それぞれに違いがあり、味があって良いのだと思います。
それこそが生きている“しまうた”なのではないでしょうか。
つぎに竹富島を訪れるときには
「こんなうたがあるのだなぁ」、「島のおばぁがあんな話をしていたんだなぁ」
と思い浮かべながら、「安里屋ユンタ」の風をあなたにも感じていただければ幸いです。
取材協力・参考文献
喜宝院・院主上勢頭同子さん、萬木忍さん、新田観光、のはら荘、民芸喫茶マキ
竹富島でお会いしたみなさま、ご協力まことにありがとうございました。
<主な参考文献>
『島うた紀行 第二集』仲宗根幸一
『「しまうた」流れ』仲宗根幸一
『沖縄の歌100選』ラジオ沖縄
『ウチナーのうた』音楽之友社
『八重山歌謡集』仲宗根長一
2011年1月 取材・撮影・執筆:安積美加
 島風の記憶と希望
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