はじめて触れる沖縄の笛の世界
「笛処おおわん」のオーナーであり塗師の小笠原千裕さんに、笛初心者の私が気になった点を教えていただきました。
初心者の目線で沖縄の笛に纏わるアレコレをご紹介いたします。

沖縄の笛の特徴
1.穴が6つの横笛
2.飾り穴が2つある
3.唄口が小さい
沖縄の笛の原型は中国から伝わったそうです。
ふたつの「飾り穴」は、中国から伝わったときに笛に“飾り房”が付いていた名残だそうです。

沖縄の笛の呼び方
詳しくはわかりませんが、内地には「龍笛」「能管」「篠笛」「尺八」など、笛と言ってもいくつかあるようです。
沖縄では笛のことはなんと言うのかな?
沖縄笛? 琉球笛? 琉笛?
正式名称や略称が知りたいな。
その答えは・・・
沖縄には笛の種類は「横笛」一種類だけです。
なので、沖縄では笛のことは単に「笛」と言うそうです。
沖縄の笛の系統
沖縄本島で琉球古典音楽を携わっている方からみると、沖縄の笛の系統は次のように分けられるようです。
1.笛 ・・・ 音楽を奏でるための笛。ドレミ調。穴は等間隔ではない。(琉球古典音楽や沖縄民謡・琉球民謡に用いられる)
2.八重山の笛 ・・・ 神様、ご先祖様のための笛。穴が等間隔。
3.八重山古典の笛 ・・・ 1.と同様。ドレミ調。穴は等間隔ではない。音量は1.より抑えめ。
写真(↓)漆塗りの笛が「大湾笛」(琉球古典音楽)、真ん中が「八重山の笛」、上が「八重山古典の笛」です。

もしかすると、八重山で「笛」と言えば「2.八重山の笛」を指すのかもしれませんね。私の想像です。
初めて笛に触れる ー まず、音が出せる??
笛を吹いている方、笛奏者を見ていると、笛って簡単そうに見えませんか?
吹いている姿は優雅で、あまり難しそうには見えません。
ところが!!
いざ笛を吹いてみようと思っても、うまく音が出ません。
美しい音には程遠いのです。
三線はたくさんの方が習っているし、初心者の方の唄三線を耳にする機会もたくさんあります。
でも、笛が簡単そうに見えるのは、上手い人が吹いているところしか見たことがないから。
というか、人前では上手い人しか吹いてないから。
上手い人しか吹けないから。と言った方が正解かもしれません。
笛をされていないウチナーンチュのシージャたちはこんなことを仰っていました。
「音が出せれば笛は吹けるようになるよー」
「音すら出せない人もいるからね。自分は音が出せなかったから諦めたよ」
「まともに音が吹けるようになるには1年はかかると聞くね」
簡単そうに見えて、難しいのが笛。
私は初めて笛を吹かせていただいて、幸いにも、少し音が出ました。
ところが、「初めての人が笛を吹いて、まず何かしら音が出るだけマシ」らしいです。
「音が出せるなら吹けるようになりますよー」と言っていただきました。
楽器に難易度の甲乙をつけるなんて愚の骨頂とは思いつつ、気になったのが初心者にとっての難易度。
「初心者にとって、三線と笛でしたらどちらが難しいですか?」と千裕さんにお尋ねしたところ、「私は笛の方が難しいと思います」とのお答え。
上手い下手は置いといて、三線は弾けばとりあえず音は出せます。
でも笛はまず音を出すことから難しいから。
うーん。笛って思った以上に奥が深そうです。
笛未経験の方は、まずは体験で吹けそうかどうかお試しされることをオススメいたします。
初心者が知っておきたい笛のこと
- 湿気はあった方が良いそうです。
- 乾燥、急激な冷えは割れるおそれがあります。
- 笛は温かいと音が上がり、寒いと音が下がるそうです。
- 演奏前、笛奏者は笛を肌身につけて体温で笛を温めておくそうです。
- 楽器全般に言えることですが、夏場など高温になりすぎる車中放置はよろしくないです。

初心者が知る笛の難しさと自由さ
「笛って難しくて、先生でも同じ音が出るとは限らない。
今日吹けても、明日同じように吹けるとは限らないんですよ」
と千裕さん。
笛はとてもシンプルな構造だけに音を出すことすら難しい楽器。
唇を当てる角度や当て具合、息の吹き込み方、息の量、笛を持つ角度 etc…
吹き方も人それぞれ。笛によっても吹き方が変わるようです。
指使いも笛によって変わるそう。
ピッチを合わせるために指使いを変える必要があったり、指使いが異なる笛もあるそうです。
大湾笛はドレミ調で、ピッチが正確なので、指使いも素直です。
「笛はとくに楽譜はありません。旋律がわかっていれば吹けますから。
とくに決まりはないので、同じ曲でも笛奏者によって異なります。
ここで音を入れる入れないとか、音を伸ばすとか、奏者の感性や好みなんですよ」
笛はなんて自由なんだ!
自由でいい!!
吹くことは難しいけれど、吹けるようになれば自由でいいなー。
いつか、自由に、楽に、自然に笛を吹けるようになりたい。
と初心者は思いました。
笛は続くよどこまでも
実はこちらの記事、6月に着手していたのですが、気付けば旧盆ウンケー。あぎじゃびよー。
2025年5月、偶然見つけた「笛処おおわん」にて初めて笛を吹きました。
音が出せたので、その場で大湾笛の購入を決意。
予定よりかなり早く、6月に受け取れた大湾笛(C管)。
聞けば、笛奏者以外で、「大湾笛」を手にした素人第一号でした。
“竹が笛という楽器になる”こと、などなど、まだ綴りたいことはありますが、一旦筆を置いて公開いたします。
千裕さんが更新されている Instagram「笛処おおわん」 は、大湾先生の素晴らしい笛の演奏映像や、驚きのエピソードなどもご紹介されている楽しいインスタです。是非ご覧くださいね。
こちら『島風の記憶と希望』では引き続き “素人目線の笛話” を綴りたいと思います。
目下の目標は大好きな「とぅばらーま」。
まだまだ思うように音が出せませんが、笛と仲良くなって、趣味のひとつとして楽しみたいと思います。
【令和7年の旧盆】
ウンケー 2025年9月4日(木)
ナカビ 2025年9月5日(金)
ウークイ 2025年9月6日(土)
ヌーバレー 2025年9月7日(日)
本日はこれから「笛処おおわん」に伺います♪
皆様、良い旧盆をお迎えくださいね。(^-^)/